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新宿ワシントンホテルビル本館2階
塚越FP社労士事務所 代表 塚越一央
1.テレワークの盲点とは
新型コロナウィルス感染症が世界中で猛威を振るい、社会お
よび経済界を大混乱に陥れています。数多くの中小企業が深
刻なダメージを受けていますが、皆さんの会社は大丈夫です
か。
事業の自粛や出勤率の縮小を要請され、急遽テレワークを始
めた方も多いことかと思います。テレワークを余儀なくされ
ているあなた。やっとの思いでテレワークの導入にこぎ着け
て、ひと安心しているのではありませんか。テレワークには、たくさんの盲点があるのですよ。
そんなテレワークの落とし穴を解説しながら、解決策も考えていきましょう。
2.テレワークで社員間のコミュニケーションが不足していませんか
テレワークを開始して、まず心配になるのが社員間のコミュニケーション不足です。ひとつの仕事を
共同で行いながら働くことが多い日本企業では、社員同士が顔を合わせず会話もできない環境で、社
員は不安を募らせることになります。また、テレワークをする社員は、一緒に働く同僚が周りにいな
いことで孤独に感じるかもしれません。
働くうえで精神的な不安があると、仕事がうまく進みませんし、仕事に集中できません。せっかく
テレワークを導入しても、仕事の効率が悪くなっては、導入した意味が無くなってしまいます。
では、どのように社員間のコミュニケーションを図ったら良いのでしょうか。
遠隔で社員間のコミュニケーションをスムーズに行うためには、テレビ会議システムやチャットなど
のツールを使ってみてはいかがでしょうか。現在このような対話をサポートするツールはいろいろあ
ります。例えば、テレビ会議ではZoomがその代表格です。
しかし、いつもテレビ会議やチャットをするだけでは、細かい機微が伝わらなくなります。そこで、
社内で定期的にお互いの顔を見せ会うミーティングを開催することが重要になります。社員同士が信
頼しながら働くには、やはりフェイスtoフェイスの場面を設定することを忘れてはいけません。
3.情報漏洩やウイルスのリスクが気になりませんか
テレワーク導入にあたり、会社が一番気にすることは、情報セキュリティに関することです。テレワ
ークを開始すると、社員は会社の外で仕事をするため、企業情報を外部へ持ち出すことになります。
すると、当然情報漏洩のリスクが高まることになります。自宅やサテライトオフィス、また移動しな
がら働く社員は、企業情報の取り扱いに最善の注意を払う必要があります。
また、会社のネットワーク内で完結していれば良いのですが、外部のネットワークやWiFiを利用する
と、ウィルスの侵入、さらにはサイバー攻撃にも注意を払わなければなりません。
最近では、解雇の不安を募らせる社員が、上司の目が届かないことをいいことに、社員による機密デ
ータの流出や盗難が出てきていることも忘れてはいけません。
情報漏洩やウィルスの侵入が発覚しますと、会社として世間に公表する必要が出てきますし、同時に
会社の信用が大きく失墜することにもなります。
対策としては、まずテレワークの運用を想定して、社内のセキュリティ規程を見直しましょう。それ
から、信頼のおけるウィルス対策ソフトを導入し、パスワードも定期的に見直すなどのセキュリティ
管理をしっかり実行する必要があります。
次に、ノートパソコン等の端末の紛失とか盗難のリスクですが、テレワークで使用する端末の所在場
所や使用者の管理をきちんと実施することと、機密性が高いデータは必ず暗号化し、データのバック
アップを確実に取るなどの対策が重要になります。
また、テレワークを実施する社員に対して、情報セキュリティやトラブル発生時の対応に関する研修
会を開催することも有効です。社員自身がセキュリティに対する意識を高めることが、情報セキュリ
ティの事故を未然に防ぐ鍵となります。
4.上司の監視がないのでサボってしまうことはありませんか
テレワークで働く社員は、うるさい上司の目が届かない環境のため、リラックスして働ける反面、
「少しぐらいサボってもバレないだろう」という甘えが出ることがあります。
上司からしても、今まで部下の仕事ぶりを見て評価できたものが見えなくなる訳ですから、サボって
いるのではないかと懐疑的になることも想定されます。
また、在宅勤務は自己管理が難しいと考えられます。寝坊しても怒られませんし、テレビの誘惑もあ
ります。子供の相手をしたり、家事が気になったりもします。
このように、家にいますとサボったり、誘惑に負けたり、仕事に集中できなくなる恐れがあります。
さらに、日本の職場ではメンバー全員が協力して、ひとつの仕事を遂行するという文化があります。
この場合、テレワークでは個人の責任がどうしても不明瞭になったり、誰かが仕事をやってくれるだ
ろうという甘えが芽生えたりして、優秀な人材に仕事が集中し、他の社員はサボってしまうという仕
事の偏りを生むことがあります。
これらのサボりを防ぐには、全員で協力して仕事を遂行するというメンバーシップ型の雇用体系を、
個々の社員の仕事の成果物で評価するジョブ型の雇用体系に変更する必要があります。
例えば、在宅勤務をする社員は、前日のうちに上司にどんな仕事をしてどんな成果物を提出するかを
報告しておき、上司は当日の夕方にその成果物が提出されたかを確認する。
これにより、在宅勤務であってもサボらずに仕事を遂行したと評価することができるはずです。
それでもサボりが心配であれば、職場にいる社員と在宅勤務の社員がお互いにいつでも行動が見える
ように、常時Webカメラでつなげておく方法もあります。そうすれば、お互いの顔が常に確認できる
ようになり、在宅勤務の社員を孤独感から解放させる効果も期待できます。また、職場で実際に働く
感覚になるので、適度な緊張感のもとで仕事に取り組むこともできます。
さらに、フレックスタイム制を導入することで、早く仕事が終わっても、定時までダラダラやり過ご
すようなサボりをなくすこともできます。
5.出勤社員に負担や不公平感が出ていませんか
テレワークと言っても、全員がオフィスの外で仕事をする訳にはいきません。何人かはオフィスで、
顧客からかかってきた電話に対応しなければなりません。出勤社員は、電話の都度仕事を止めて電話
対応を強いられます。そのために、出勤社員の生産性は低下し、評価も落ち込む可能性があります。
一方、テレワークの社員は煩わしい電話対応がありませんから、仕事に集中でき、生産性も向上する
訳です。
また、出勤社員からすると、テレワーク社員は、通勤しなくてもよく、上司の監視もないので、お気
楽だと思うかもしれません。出勤社員は、そういう不公平感を常に抱えて仕事をすることになります。
こういう状況では、コミュニケーションも悪くなり、社員間の信頼関係が希薄になってしまいます。
では、どうすればこのような状況から脱することができるのでしょうか。
まず、電話対応の負担ですが、電話対応専門の人員を任命するか、外部にアウトソーシングするのも
良いかもしれません。あるいは、電話の転送システムを活用して、テレワーク社員にも電話対応を負
担させるという方法もあります。
但し、これらの方法はコストがかかり、生産性を上げる効果はありません。そこで、さらに突き詰め
ていくならば、顧客からの電話を減らすことを考えることです。例えば、顧客との連絡に、ビジネス
チャットを導入することも有効です。相手があることですから、すぐに始めることは難しいですが、
顧客と良く相談をして、徐々に導入していくと良いでしょう。
出勤社員の不公平感ですが、出勤社員とテレワーク社員を定期的に入れ替えることも方法ですが、そ
もそもテレワークの導入は全社員の生産性を向上させ、会社に大きな利益をもたらすということを
トップ自らがメッセージとして伝え、研修などで啓蒙に努めことで、社員間の不公平感を解消させる
ことができると思います。
以上、テレワーク導入の盲点とその対策について、解説してきました。
すでにテレワーク導入を済ませた会社は、今まで述べてきたテレワークの盲点を自分の会社に置き
換えて、もう一度見直してみてください。必ず今まで気がつかなかった課題が見つかるはずです。
また、まだテレワークを導入していない会社は、導入のメリットを検討して出来るところからでかま
いませんから、少しずつ始めてみてください。必ず貴社に有益なものをもたらしてくれると思います。
現在のコロナ禍のピンチをチャンスに変えるように、テレワークを有効に活用して、この難局を乗り
越えてください。
(2020年8月20日 作成)
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